ディスカウントストアの女性店員が美人

『ディスカウントストアの彼女』

僕が毎日のようにそのディスカウントストアにでかける理由は、もちろんその店の商品がほかに較べて格安ということもありますが、ほかにももう一つ目的があったのです。
店には多くの女性店員たちが働いています。
店の制服をはおった下はジーンズ姿で、商品棚に商品を補充したり、客の対応やレジで料金をうけとったりと、みなまめに立ち回っています。
そんな中に、彼女がいました。
髪の長い、色白で、目にとても魅力のある、なかなかの美人です。
前に僕が、ある商品の置き場所をたずねると、わざわざ僕をその商品のあるところまで連れていってくれました。 そのときの親切で丁寧な対応が忘れられずに僕は、それからも彼女みたさに店に通い続けているのでした。
胸に付けた名札から、彼女が山中だという名前だけはわかっていました。
足がすらりとながくて、床においたケースから商品をとるさい、腰をまげたりすると、下着の線がきゅっと走って、思わず僕は目を奪わたりするのでした。
彼女も僕の顔をおぼえてくれていて―――そりゃ、これだけ足しげく通いつめたら当り前ですが―――、顔があえばにこりと微笑んでくれます。
いま僕は、彼女をどこかお茶にでも誘おうとして、その機会をうかがっているところでした。
この前なんか、彼女を前にして、「あのう、よかったら―――」と、そこまでいったときがあったのです。あと一歩で、「今度お茶でものみにいきませんか」と続けようとしかけたときでした。いきなり背後から中年の女性が、「ポテトチップ、どこにあるの?」と、まるで僕の企てを阻止するかのように彼女にきいてきたものだから、彼女が教えている間に僕の闘志もしぼんでしまい、ふたたび彼女が僕の方をむいた時には、「よかったら、カップラーメンのおいてある場所教えてもらえますか」と、お茶に誘うはずがそんな質問にすりかわってしまいました。
「そこですが」
と彼女がけげんそうに僕の目の前の棚を指さしたときほど、ばつの悪い思いをしたことはありませんでした。

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