ハロウィーンで薄着黒猫コスチュームに網タイツ

『ハロウィーンで仮装した彼女』

あれはこの間のハロウィーンのことでした。
いつものカフェに行くと、肌にぴったりまつわりついた黒光りするレザーを着込み、顔にはやはり黒色のマスクをかけた女性があらわれ、
「いらっしゃいませ」
と僕に、挨拶してきました。

よくよくみるとそれは、ここの店オーナーでした。いつもはどちらかといえば控えめな服装で、僕たちの注文をききにきていたものですが、きょうはまた、肌も露わな薄着で見違えるばかりの変装ぶりです。
「いかがかしら、このコスチューム。黒猫を気取ってるつもりだけど」
「いやあ、よくお似合いだ。それにとてもセクシーで、色っぽいね」
「まあ、ふふふ」
そういって、これみよがしに腰をくねらせる彼女でした。

僕はそのハロウィーンの仮装をした彼女の姿が、それからもいつまでも頭にこびりついて離れませんでした。
大きくもりあがった胸、豊かに張り出した腰、そして網タイツに包まれたしなやかな太腿がまるで3D映像のように目に迫ってくるのでした。
彼女が既婚者で、子供さんもいることは知っていました。けれどもあの仮装をみて以来というもの、僕は彼女が忘れなくなってしまったのです。それからも時間があれば彼女のカフェに通っては、これまで以上に親しく口をきき、仲もよくなって、よかったらこの次の休日にでも、車でドライブにでもいきませんかと誘ってみるまでらなりました。

「ありがとう。だけどごめんね。今度はほかに用事があるの」
優しい調子で断られたので、僕は傷つくこともなく、それからもカフェ通いを続けていました。
その日は、先客がいました。見知らぬ男性です。僕がいつもの窓際のテーブルに座ると、彼女に語りかけるその客の声が聞こえてきました。
「ママさんのあのときの仮装が忘れられないよ。本当にセクシーだったな」
すると彼女がこう答えました。

「そういってくれる男性のお客さんがいまもお店に通いつづけているのよ。これもハロウィーンのおかげだわ」
彼女の仮装に魅了されたのは、僕一人ではなかったようです。

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